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大阪地方裁判所 昭和30年(ワ)2838号 判決

原告 全明治屋労働組合

被告 株式会社明治屋食品工場 外一名

主文

原告の訴中別紙第一記載山口賢一、吉田重治、阿部清治、藤原三郎(以上被告株式会社食品工場関係)、井上茂、小泉弘、宮本静子(以上被告株式会社中央亭(大阪)関係)に関する部分はこれを却下し、原告のその余の者に関する請求はこれを棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

原告訴訟代理人は、「被告等は別紙第一記載の原告組合員に対し昭和二九年九月一日以降の基準内賃金を別紙第二記載の如き賃金体系に基き支給すべき義務あることを確認する。訴訟費用は被告等の負担とする、」との判決を求め、その請求原因として、被告株式会社明治屋食品工場は、シロップジュース食料品壜詰罐詰菓子類の製造等を、被告株式会社中央亭(大阪)は、宴会貸席並に飲食料品の販売及喫茶店の営業等を業とするいずれも株式会社であり、従来訴外株式会社明治屋(以下明治屋と称する)の一営業部門であつたが、前者は昭和二九年八月三一日、後者は同年同月二七日いずれも右明治屋から分離したものである。而して従来からの右明治屋の各営業部門の従業員は同年九月一日附でそれぞれ被告会社等の従業員となつた。なお従来は明治屋の子会社としては、関東明治屋商事株式会社と関西明治屋商事株式会社があつたが、明治屋の一営業部門であつて被告等と略同一時期に分離独立したものには、株式会社三島農園、株式会社中央亭(東京神戸各一社)がある。原告は右明治屋及び各子会社の従業員の過半数以上を以て組織する労働組合であり、従来は名古屋以東の従業員を以て組織する明治屋従業員組合と、大阪以西の従業員を以て組織する明治屋関西地区労働組合とがあつたが、昭和三〇年五月三日合同して原告組合が組織せられ、右両者の権利義務を包括承継した。而して昭和二九年八月三一日現在における明治屋及び前掲各子会社の従業員に対する基準内賃金の支給は、別紙第二記載体系中経験者は「有用」と「全く異種」との間に「一部有用、一年につき二〇円」の段階を加えたものであり、能力給は別紙第三記載の通りであり他に役職者能力給につき別箇の定めがあり、初任給は別紙第四記載の通りであり、物価手当は別紙第五記載の通りである外は、別紙第二の賃金体系を以てなされていた。然るところ昭和二九年九月二五日前記旧二組合は、共同して同年同月一日以降の賃金につき前記各会社との間に団体交渉を進め、同年一一月一日別紙第六の如き協定に達し、右協定は同日仮調印次で同月二五日本調印された。右協定書には会社側としては明治屋代表者磯野長蔵のみが記名捺印しているが、同人は被告等子会社をも代理して記名捺印したものである。その後会社側の「調査研究」が意外に手間取り一二月初旬に至り漸く「本給」に関する会社案の提示があつたから、直ちに双方専門委員を以て協議を遂げ、一二月二八日に至つて修正点につき合意に達した。右合意に基き修正された賃金体系は別紙第二の通りである。勿論右協議に当つた会社側専門委員は被告等をも代理していたのである。右の合意は書面に作成され且つ記名捺印のなされない労働協約である、右合意は労組法第一四条の要件は備えていないが、同条所定の要件の存否は協約の本来的効力たる規範的効力については影響を与えるものでなく、いわゆる協約の一般的拘束力についてのみ、同条所定の要件を必要とするものと解すべきであるから、右協約が被告会社と原告組合及び組合員たる従業員とを拘束するものであることは疑のないところである。右賃金体系は会社において就業規則に作成の上実施されることになつていたに拘らず、会社側は独り明治屋についてのみ右協約通り従来の賃金規則を改正したものを提示して来たに止り被告等については右協約を無視した就業規則案を組合に提示して来た。そして会社側は右賃金体系は被告等を拘束しないと主張して譲らない。よつて本訴請求に及ぶ旨陳述した。(立証省略)

被告等訴訟代理人は先ず「原告の訴を却下する。」との判決を求め、本案前の主張として原告は原告組合員たる別紙第一表示の従業員と被告等との間における労働契約関係につき賃金計算の基礎が原告主張のものであることの確認を求めているのであるが、かかる事項については個々の組合員が原告適格を有するのであつて、原告組合はその適格を有しない。少くとも本訴提起後主文第一項掲記の七名の者等は何れも組合より離脱したから右七名については原告の訴は不適法なること明かである。更に確認の訴は現在における権利関係についてのみ認められるものなるにかかわらず、原告の確認を求める法律関係の一部は既に過去のことに属するものであり、その余についても刻々と過去になる性格を有する。又本件請求が認容されても被告等従業員の現実の給与額には変更がないから以上いずれの点よりするも原告の本訴は確認の利益を欠く不適法な訴であると述べ、

次に本案につき請求棄却の判決を求め、答弁として、原告主張事実中、被告等が原告主張の日設立せられその主張通りの営業をしていること、原告組合が明治屋系各会社の従業員の過半数を以て組織せられ同組合創立前原告主張の如き労組のあつたこと、昭和二九年八月三一日現在における明治屋系各会社の従業員に対する基準内賃金の支給に関する原告主張事実、明治屋代表者の記名捺印した原告主張の如き協定書のある事実、及び原告主張の如き合意が明治屋と原告主張の旧二組合との間に成立した事実はそれぞれこれを認める。その余の原告主張事実は争う。昭和二九年一一月一日付仮協定書、同月二五日付本協定書及びこれに基く協議の結果同年一二月二八日成立した合意は何れも明治屋と明治屋従業員組合及び明治屋関西地区労働組合との間に成立したものであつて被告等には何ら関係のないものである。被告等はかかる協定乃至合意に至る団体交渉に参加しておらず又団体交渉並に協定締結等を明治屋代表者に委任したこともない。更に昭和二九年一二月二八日成立した合意は労働協約ではない。右の合意は当事者の記名捺印のないことは勿論文書にすら作成されていないことは原告の自認しているところである。労組法第一四条が労働協約作成に当り当事者の署名又は記名捺印を要求しているのはその締結の事実及び内容を明にし且つ当事者の最終的意思を明確にせんとするために外ならない。従つてこの要式を欠く協定乃至合意は労働協約としては勿論何等の法律上の効果をも認めることはできないものである。以上いずれの点からしても原告の請求の理由のないことは明白であると述べた。(立証省略)

理由

一、被告の本案前の主張について、

原告は原告組合員たる別紙第一表示の被告等従業員と被告等との間における労働契約関係につき賃金計算の基礎が別紙第二の通りであることの確認を求めているものなるところ、元来労働契約関係につき処分権を持つ者はその当事者たる使用者と個々の労働者以外にはなく労働組合はその所属組合員についても組合員の権利を処分する権能を持ちえないことを原則とする。従つて組合員自身の権利については労働組合は原則としてこれを行使するための訴訟をなすを得ないのであるが、確認の訴は給付の訴と異り訴訟物たる権利又は法律関係の当事者でなくても、これが存否を確定する法律上の利益を持つ場合には当事者適格をも肯定すべきものである。本件において原告は別紙第一表示の者が原告組合員であり、且つそれぞれ被告各会社の従業員であること、原告組合と被告等との間には原告主張の労働協約が厳存しこの協約は労組法第一四条の要件を欠くが故に一般的拘束力は持たないが規範的効力を有することを前提として右従業員と被告会社等との間の労働契約中賃金基準が別紙第二の通りであることの確認を求めているのである。而して被告等はかかる協約の存在を争い原告主張のような賃金基準が有効に存することを否定しているのであるから、本件の争に於ては組合員の労働関係の確認と組合の任務たる団結権擁護の要請とが法律上直結しており、原告組合は組合と会社間の労働協約履行の必要上本件労働関係確認訴訟を追行するにつき直接且つ具体的な利益を持つ場合であるということができ、かかる場合には組合員たる従業員と会社との関係に限り右確認の利益があり、従つて又組合の当事者適格をも肯定すべきものである。被告は本訴の確認の利益の存在を争い、原告の確認を求める法律関係の一部は過去のものであること、及び原告の確認を求める賃金基準と現実に被告会社等において行われているそれとは異ならぬことを確認の利益不存在の主張の根拠としているが、原告が昭和二九年九月一日以降の労働契約関係の確認を求めているのは、原告主張の労働協約の効力がその時に発生した経過を明にしているにすぎないもので、原告の主たる目的とするところは、現在の労働契約関係の確認にあるものというべく、又現在被告会社等に施行せられている賃金基準が原告の確認を求めるところと偶一致しておるからとて、そのことは被告会社等が労働契約の履行として即ち義務付けられてかかる賃金基準による支給をしているものとは限らず却て本訴において被告はかかる労働契約関係の存在を否定しているのであるから確認の利益なしということをえない。即ち原告はその組合員に関する限り本訴確認の利益を有し従つて当事者適格をも有するものなるところ、被告は主文第一項掲記七名は本訴提起後原告組合より離脱した旨主張するに対し、原告はこの事実を明に争わないから自白したものと看做され、従つて右七名に関する限り、原告は本訴を提起するに付き当事者適格を欠き不適法として却下を免れず、その余の者に関しては本訴は適法である。

二、本案について、

原告は原告組合の前身たる明治屋従業員組合と明治屋関西地区労働組合が、昭和二九年九月二五日同年同月一日以降の賃金につき明治屋を始とし被告会社等を含むその子会社全部を相手として団体交渉を進め、同年一一月一日仮協定書を、さらに同月二五日本協定書各作成し、次で同年一二月二八日に至つて別紙第二表示の如き最終合意に到達したものであつて、右協定書には明治屋代表者磯野長蔵が被告会社等をも代理して記名捺印したものであり、右最終合意もまた原告組合と被告等との間の労働協約としての効力を持ち、従つて原告組合員たる従業員と被告等との間には別紙第二の如き労働契約が存する旨主張するけれども、労働協約についての労組法第一四条所定の要件即ち協約当事者双方の署名又は記名捺印は、労働協約の効力発生要件であつて、これを欠くものは同法第一七条の一般的拘束力は勿論のこと、同法第一六条の規範的効力をも有しないものと解するの外ないところ、原告主張の協定書には使用者側として明治屋代表者磯野長蔵の記名捺印はあるが、被告会社等代表者の署名又は記名捺印なく、また右協定書において明治屋代表者磯野が被告会社等を代理したものとも認めることのできないのは成立に争のない甲第一号証により明かであり、更に原告が昭和二九年一二月二八日成立した最終合意と称するものは書面にも作成されず、従つて協約当事者双方の署名又は記名捺印の存しようもないものであることは当事者間に争のない事実であるから、結局において原告主張の協定書及び合意はいずれも原告組合と被告等との間の労働協約としていわゆる規範的効力を有するものでないこと明かである。しからば右効力のあることを前提とする原告の請求は別紙第一表示原告組合所属従業員に関する部分に付き理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用し主文の通り判決した。

(裁判官 宅間達彦 松浦豊久 杉山修)

別紙第一(組合員名簿)

氏名

住所

備考

氏名

住所

備考

山口賢一

(省略)

組合より離脱

庄村智

(省略)

吉田重治

小林誠

阿部清治

岩根利雄

中島五雄

藤原三郎

組合より離脱

陶山保良

植田数民

島中正

檜垣和馬

宮田隆介

大宮準一

藤山陽太郎

提千代子

沖泰行

大川泰弘

佐伯義和

阿波則

前田勉

今村幸司

細見節子

井上茂

組合より離脱

働清子

東貞夫

堀木登史子

中村省一

井上幸子

小泉弘

組合より離脱

長谷川貴美子

大沢倭江

北野賀津子

宮本静子

組合より離脱

成田英子

西川みよ子

野村テル子

以上中央亭(大阪)関係

以上食品工場関係

別紙第二

(一) 本給

(1) 本給は年令給、勤続給、学歴給、経験給及び能力給よりなる。

(2) 年令給は毎年九月一日に改訂し、同日現在の年令により左表の通りとする。

満年令

年令給

16才未満

3,500円

16

3,580

17

3,660

18

3,740

19

3,820

20

3,900

21

3,980

22

4,060

23

4,140

24

4,220

25

4,300

26

4,380

27

4,460

28

4,540

29

4,620

30

4,700

31

4,780

32

4,860

33

4,940

34

5,020

35

5,100

36

5,180

37

5,260

38

5,340

39

5,420

40

5,500

41

5,580

42

5,660

43

5,740

44

5,820

45以上

5,900

(3) 勤続給は毎年九月一日に改訂し、同月末日現在の勤続年数により、勤続一年につき八〇円とし停年満五十五才を以つて打切る。

(4) 学歴給は新制中学校卒業相当以上の入社前の正規の修学年数一年につき八〇円とした左表の通りとする。

高小卒新中卒 0

旧中卒(4年制を含)160

新高卒 240

旧高専卒新短大卒 400

新大卒 560

旧大卒 640

(5) (経験給は入社前の経験で就業後有用なものに限り経験の程度に応じて一年につき左表の通りとする。

一年につき

80

40

0

程度

特別

有用

全く異種

(6) 能力給は次の如く決定する。

(イ) 「株式会社明治屋従業員人事考課規定」により実施せられた人事考課の評定点に応じて決定する。

(ロ) 勤続、学歴及び経験の各年数に応じて算定された経過指数により、左表の如く最高最低を定める。但し職務手当を支給されているものには左表を適用しない。

区分

最低

最高

経過指数5未満

1,900円

3,600円

〃5以上10未満

2,900

6,900

〃10以上15未満

4,600

10,900

〃15以上20未満

7,100

14,900

〃20以上25未満

9,300

16,900

〃25以上30未満

10,300

18,900

30以上

11,300

(二) 初任給

標準年令で入社する場合の初任給の本給は左の通りとする。

学歴

満年令

年令給

学歴給

能力給

本給計

新中卒

15才

3,500

0

1,900

5,400

新高卒

18

3,740

240

2,540

6,520

新短大卒

20

3,900

400

3,260

7,560

新大卒

22

4,060

560

4,100

8,720

(三) 物価手当

物価手当は各本支店出張所の所在地に応じて本給に対し左の率を乗じた額とする。

所在地

本給に対する率

金沢、新潟、富山、福井、熊本

二八%

門司、福岡、仙台、広島、岡山、小倉

三三%

東京、横浜、鎌倉、大阪、芦屋、京都、神戸、名古屋、札幌、函館

三八%

(四) 職務手当

職務手当は本給に対して左の率を乗じた額とする。

部課長(本社)本支店長     一〇%

部課長心得(本社)本支店長心得 九%

会計主任            八%

次長              七%

会計主任心得、次長心得     六%

出張所長 A出張所長      七%

A出張所長心得    六%

B出張所長      四%

B出張所長心得    四%

主任              四%

(五) 住宅手当

住宅手当は本給の一〇%とし、本社部課長、本支店長及び出張所長に対して支給する。

但し、本支店、出張所内に居住する場合は支給しない。

(六) 家族手当

家族手当は左表の通りとする。

扶養家族の範囲

金額

(1)本人と設計を一にする妻

一、〇〇〇円

(2)本人と設計を一にする六十才以上の父母及び十八才未満の子

七〇〇円

主として本人の収入により設計を維持する血族二親等、姻族一親等以内の親族中六十才以上の者及び十八才未満の者。但し特別の事情のある場合は血族三親等、姻族二親等以内の親族中六十才以上、十八才未満の者には審議の上、支給することがある。

五〇〇円

但し前(2)及び(3)に於て六十才未満又は十八才以上の不具廃疾者はこれに含まれる。

(七) 技能手当

技能手当は左の職務等を行うものに支給する。

その額は職種、技能程度及び地方事情によつて異なる。

洋裁部、運転手、タイピスト、電話交換手。

別紙第三

経過指数

能力給

最低

最高

0

1,700

1,700

1

1,800

1,900

2

2,000

2,300

3

2,200

2,700

4

2,500

3,100

5

2,800

3,700

6

3,100

4,300

7

3,400

5,000

8

3,700

5,700

9

4,000

6,400

10

4,300

7,200

11

4,600

8,000

12

4,900

8,800

13

5,200

9,600

14

5,600

10,500

15

6,000

11,100

16

6,400

11,700

17

6,700

12,200

18

7,000

12,700

19

7,300

13,200

20

7,600

13,700

21

7,900

14,200

22

8,200

14,700

23

8,500

15,300

24

8,800

15,600

25

9,000

15,900

26

9,200

16,200

27

9,400

16,500

28

9,600

16,800

29

9,800

17,100

30

10,000

別紙第四(初任給)

新制中卒 五、二〇〇円 旧制高卒 七、五〇〇円

旧制中卒 六、〇〇〇円 新制大卒 八、七〇〇円

新制高卒 六、五〇〇円 旧制大卒 九、四〇〇円

別紙第五(物価手当)

所在地

本給に対する率

金沢、新潟、富山、福井、熊本、仙台

二二%

門司、福岡、広島、岡山、小倉、名古屋、戸畑、佐世保

二六%

東京、横浜、鎌倉、大阪、芦屋、京都、神戸、札幌、函館

三一%

別紙第六(協定)

甲第一号証

協定書

株式会社明治屋(以下会社といふ)と明治屋従業員組合並明治屋関西地区労働組合(以下組合といふ)とは九月二十五日附組合より提出の要求書について五次に亘る団体交渉を行ひ十一月一日両者の意見が一致したので茲に左の通り協定する。

一、増給について

1 会社は昭和二十九年九月一日以降の平均給与額を一八、八四二円とする。但し新設五会社を含む。右は昭和二十九年八月三十一日現在の平均給与額一六、四七一円に対して一四・四%増である。

2 前項の増額を以て本給を九・七%増し、本給、職務手当、住宅手当の増加分を除いた残額を物価手当に繰入れる(物価手当増率は約二割三分一厘となる)。

3 会社は普通賞与を月々の給与に繰入れる。従つて今までの普通賞与は昭和二十九年度下期以降支給しない。但し従来の特別賞与は営業成績によつて支給する。

二、社宅独身寮の整備拡充について

会社は経費の許す範囲で整備拡充することに努める。

特に取敢へす転勤の場合は権利金、敷金等につき本人の負担にならぬよう考慮する。

三、社会保険料の会社負担を六割とすることについて

会社は目下健康保険組合を設立準備中であるので設立の後経験を重ぬるに従つて組合の希望に副うやうにする。

四、結核病床について

直に関東に三床、関西に二床確保する。

五、交通費について

会社は全額を会社負担とし本年九月一日から実施する。

諒解事項

一、本協定は関東明治屋商事株式会社、関西明治屋商事株式会社、株式会社明治屋食品工場、株式会社三島農園、株式会社中央亨(東京・大阪・神戸)を含むものとする。

二、一時金八三三、三三三円の本給繰入れは明治屋役員を含まないものとする。若し明治屋役員にもこれに相当するものを本給に加算する場合は其の財源は他に求める。

三、要求書第一項増給の細目については会社で平均給与額の増加に伴つて起る諸事項の調査研究を遂げ成案の上改めて組合と協議する。

四、門司・福岡・名古屋及仙台の物価手当率については会社で更に調査研究して改めて組合と協議する。若し右地区に就いて増率の必要ある場合はその財源は協定第一項の総支給額外から支出する。

五、協定第二項の「本人の負担にならぬやう考慮する」の字句の具体的内容については組合は成文案を作製し会社と協議する。

六、協定第五項のバスの利用者、二種以上の交通機関利用者等は原則として会社が指定する交通機関を利用するものとし、細目については会社で調査の上、組合と協議する。

七、新設五会社の本協定後の関係については別に新設会社と組合との協議によつて定める。

昭和二十九年十一月二十五日

株式会社明治屋 取締役社長 磯野長蔵

明治屋従業員組合 中央執行委員長 村上俊吉

明治屋関西地区労働組合 中央執行委員長 福島勇

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